|
企業トップに求められるリーダーシップとは何か。このテーマについて、2001年12月3日に開催されたニュービジネス協議会などの主催したパネルディスカッションで、面白いやりとりがあった。企業に求められるリーダーシップを考えるうえで参考になるかもしれない。
松井証券の松井社長が、「社長は思い込みと開き直りが必要。会社の針路を右に取れば天国か地獄が、誰も分からない。社長が決断するしかない」と言い切った。決断が間違っていたらどうするか。「ごめんなさいと謝るしかない」と彼はいうのである。
続いて、松井社長のコメントを受けて、ヤマト福祉財団の小倉理事長(元ヤマト運輸会長)が自説を披露する。「共感できる。私も『ごめんなさい』と何度も言ってきた」との発言に、会場には笑いが広がった。さらに「経営はやってみなければ分からない。考えているだけというのが一番困る。実行して間違えたら潔く認めるべきだ。」と続けた。
両者の発言を要約すれば、「決断と実行」と月並みになるが、もうひとつ見逃せないのが明快に説明する能力だろう。二人とも業界の常識を覆すというリスクを取った。社員も不安だったはずだが、変革をやり遂げた。論理的に経営戦略を説いたからこそ、社員も納得して行動できたのではないか。二人がオーナー型経営者だから、という理由では「説明」できない。
リーダーが人を引っ張っていくこと能力のことをリーダーシップと呼ぶとすれば、そのスタイルや定義は星の数ほどあるはずだ。そのあたりの「くくり」をエクセレンスモデルは明快に記述している。EFQMやMB賞のクライテリアを読み進んでいくと、そのあちこちでリーダーシップの「かたち」が垣間見えてくる。
|