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クレジットカード大手2社が、顧客の電話による問い合わせに対応するコールセンター事業の効率化を急いでいる。三井住友カードは人材派遣会社を競わせ、サービス改善や会員数拡大につなげる。JCBは問い合わせ内容の分析力強化に取り組む。
「電話対応業務はどうしても単調になりがち。目標を作ってやりがいを持たせないとサービスの質が低下する」。三井住友カードは、11月から複数のコールセンターの業務委託を始めた。これまでは正社員が派遣社員とチームを組んで電話対応していたが、派遣社員の研修や管理に手間がかかり業務効率を上げにくかったため、今月からは派遣社員の管理を含めすべて委託することにした。委託先に責任感を持たせ、成果主義を導入した方が様々な工夫が生まれるという考えだ。
一方、年間千万件以上の電話を受けるJCBは、問い合わせ内容をデータベース管理・分析し、販促活動にフィードバックする。常時300種以上展開している販促の問い合わせ内容や、照会項目などを顧客データに履歴として書き加え、履歴データの件数や内容を分析することで、販促の反応率やダイレクトメールの表現方法改善に結びつけている。蓄積データから毎日の問い合わせ件数を予測し、その日に必要なオペレーターの数を割り出す試みを進めているのは人件費の削減が狙いだが、「予測的中率の向上が課題」という。
コストかかける割には新規会員獲得が進まず、カード業界は数を競う規模拡大路線の見直しを迫られている。「電話で問い合わせてくる顧客はそれ以外の顧客より利用額が約4割多い」となれば、各社は顧客との接点であるコールセンターが活用次第では効率的に収益率を高める可能性を秘めていることに気づきはじめたようだ。
とくにJCBでは、顧客の声という情報資源を収集し、その声を活用しながら販売戦略を策定し展開しているようだ。EFQMの#5プロセスマネジメントの事例として参考にしたい。
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